こんにちは。ひゅうが(@hinatanohyuga)です。
今回は、ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか17巻の感想を書いていきたいと思います。
まず最初に言っておきたいこととしては、『最高の出来』でした。
読みながら、大森藤ノ先生はどうしたらこんなストーリーを思いつけるのだろうか、天才すぎる・・・と驚愕の嵐。
個人的には、58階層の精霊戦で、超長文詠唱砲撃の絶望からのフィンディムナの一言 『それとも、ベル・クラネルの真似事は、君たちには荷が重いか?』と同じぐらいの衝撃をこの17巻では味わうことができました。
この素晴らしすぎる物語を読んだ感動を残すために記事を書いていきたいと思います。
17巻の素晴らしすぎる点
前巻の16巻でベルに必死の告白をしたものの、思いっきり玉砕してしまったフレイヤ様。
まわりくどいやり方をやめて、ベルを手に入れるためになりふり構わず強硬な手段をとっていくこととなります。
オラリオ最強のファミリアの団員を使ってヘスティアファミリアと対決するといったことは想像していたのですが、かなり序盤での一方的な蹂躙・・・・・。
ヘスティアファミリアは何もできずにやられてしまいます。
しかも、それだけではなく、今までルールとして自分に制限をしていた『魅了』の力も最大限利用し、オラリオにいるベル以外のすべての人間・神を『魅了』してしまうという想像できないストーリー展開へ。
前巻のシルとベルの甘酸っぱいデートとは異なり、17巻ではフレイヤ様のなりふり構わずにベルを手に入れたいという欲望が前面に出てきています。
これまでエイナやリリ、春姫といった他のキャラがベルに抱いていた単純な「好き」や「好かれたい」ではなく、『絶対に手に入れたい!好きになってもらう!』という純粋な欲望がむき出しで表現されている点が今回の話を一段と魅力的にしています。
こういったむき出しの欲望はあまりラブコメには出てこないですし、出てきても嫌われるような表現ですが、今回の話を読むとそういった欲望は本当に悪いものなのか・・・と考えさせられます。
フレイヤ様のように、自分がどうしても欲しい!手に入れたいというものがあり、それを手に入れるための力があるのであれば、他のすべてを犠牲にしてで好きになってもらおうとする姿が本当に間違いなのか。
読者はフレイヤ様がなりふり構わず本当の愛を求めて狂っていく姿、自分のやっていることが正しいと思いつつも心のどこかで矛盾を抱えてしまっている葛藤・・・・・・そういった愛の神でありながら誰よりも愛に飢え、本当の愛を探し続けているフレイヤ様の感情をつぶさに見ることができる点が今回の話をとても魅力的にしているのではないかと考えます。
悪女に追いつめられるベル
魅了が利かないベルに対してフレイヤはこれまでのシルのような純粋なやり方ではなく、悪女のやり方でベルを振り向かせようとしていきます。
フレイヤファミリアの訓練で日の出から日没まで訓練をさせて、心身が疲弊しきったところで寝室に呼び、優しい言葉を投げかけて唯一の拠り所、安心できる場所にするといった洗脳に近いやり方をしていきます。
本誌でも表現されていましたが、フレイヤ様は『正と負の二面性を持つ、残酷で奔放な女神にして、だれよりも愛の毒と奇跡を識る魔女』。
こういったやり方が一番効くことを誰よりも理解しており、的確にやれるのでしょう。
確かに、普通の男であれば、ここまで用意周到に準備されてしまうとなすすべもなくフレイヤ様の魅力に落ちてしまい抜け出せなくなってしまいます。
ただ、そうならないところがベル君のすごいところで、そういった状況にあってもフレイヤ様に無意識の反撃を仕掛けていきます。
フレイヤ様の寝巻の後ろにあるチャックを下すのを手伝う際に、緊張で指が肌に触れてしまっただけで部屋から叫びながら飛び出してしまう初心さを見せつけ、フレイヤ様の乙女心をくすぐるベル。
普段は女心なんて全然わからない鈍感さをみせつけているのに、少し落ち込んでいるとすぐに気づいて声をかける異様な鋭さを見せるベル。
「これからもあなたを傷つけるわ、ベル。そして傷が生まれるたび、抱きしめて、癒すわ。必ず、絶対に」といっていたフレイヤ様だが、自分が傷ついている瞬間にベルに慰められてしまい、きゅんとしてしまう。
乙女な心はシルという人格と一緒に捨て去ったはずなのに・・・、愛の女神として、優位な立場から一方的にベルを落とそうとしていたのに・・・・・ベルといるだけで一瞬で乙女な心に戻ってしまうフレイヤ様。
そういった姿を見ていると、残酷な女神になろうとしつつも、どうしても捨てきれない感情があること、そして愛の女神には似つかわしくないきゅんとしてしまう乙女心がが見て取れ、読者も思わずきゅんとしてしまいます。(フレイヤ様かわいい!)
フレイヤ様が本当に欲しいものとはなにか。
手に入れることのできる力、能力があるのに使わないのは間違っていると思う一方で、このやり方で本当に欲しいものが手に入るのかと心のどこかで感じている葛藤。
いままでは、絶対的な強者。迷いのない愛の神として君臨していたフレイヤ様が、ベルの思いもよらない反撃でキュンとしたり狼狽している姿、絶対に手に入れると強硬な手段をとりつつも、どこかで悩んでいる姿に読者は引き込まれてしまいます。
愛を知り尽くしているからこそ、べたな展開に弱いお姉さまキャラ。そういったキャラが私は大好きです。
魅了にあらがうキャラ達
絶望的な状況にあるベル君を救うのはやはりつながりの深いキャラ達ということで、ベル君と深い関係にあるキャラたちがフレイヤ様の魅了に抵抗していきます。
今回意外な頑張りを見せたのはアドバイザーのエイナさん。
今回の話で、実はベルクラネル担当日誌、またの名を『恋の日記帳』をつけていたことが判明。
最初はベル君の情報を書いていたのだけれども、途中からは自分のベル君に対する甘酸っぱい思いを書きなぐる日記帳になってしまっており、日誌の最後に『私は、彼のことが好きです』と自分の気持ちを確かめるような一言を書いてしまう始末・・・・。
いいよね。エイナさん・・・・。長年生きているお姉さまエルフなのにやっていることが乙女すぎる・・・・。
ただ、まずいことに赤裸々な感情をつづっている恋の日記帳をフレイヤ様に見つかって事細かに読まれてしまうという大失態・・・・。
魅了からとけて記憶が戻った後に、そのことに気づいたら死にたくなってしまうのではないだろうか・・・・。心配です。
もう一人魅了に抵抗した重要なキャラとしては、憧憬の対象、アイズ・ヴァレンシュタイン。
ベル君がだれからも拒絶されて絶望する中で、最後の希望として望みをかけたアイズ。
魅了にかかって記憶は改竄され、ベルのことは忘れていたものの、すれ違う際に無意識に手を取り、
『・・・・・・。・・・・く、』
『訓練、する?』
の一言。
本当に読みながら震えました。魅了にかかっても忘れない記憶として、市壁での訓練が残っていたこと、ベルとアイズの中での重要な思い出が「消せない絆」として残っていたこの表現が今回の話の中で一番感動しました。
この言葉の後の、『気絶させて、膝枕して、また気絶させて』という面白い一連の流れも、周りの人からしたら何それ?っという言葉でも、2人にとっては重要なかけがえのない記憶であることを引き立たせていてとてもよかったです。
心は忘れていても体が忘れていない記憶がある・・・・。そういったことが表現されているようで、とても心が熱くなりました。
大逆転に向けての怒涛の展開
オラリオ全体を魅了してしまうという規格外の行動に対して、どう対応するのかと思っていたら、ヘスティア様が大活躍。
ここにきて処女神という設定を活かして魅了の効果を打ち消してしまうなんて、だれが想像したでしょうか。
『愛の神』VS『処女神』
オラリオで絶対的な力を有するフレイヤに対して、対フレイヤ様専用アビリティを有するヘスティア様。
フレイヤファミリアとヘスティアファミリアが対決をすることは想像していましたが、ここまできれいな流れでフレイヤファミリアとヘスティアファミリア「連合軍」の形にもっていくことは想像ができませんでした。
フレイヤ様は自身の美貌・魅力で圧倒的な力を持っている一方で、ヘスティアやベルも人望という魅力でたくさんの力を集めることができるという素晴らしい対決構図になったと思います。
ロキファミリアやヘファイストスファミリアがヘスティアに協力する口実がきれいにできましたしね。
また、ベル君も最後の最後でフレイヤ様にたたみかけます。
優位なお姉さん的立場から一方的に攻めようとするフレイヤ様に対して、
『あんな熱烈な告白をしておいて『嘘』だったなんて、そんなの信じるわけないじゃないですか!』
という超絶カウンターを繰り出すベル君。
ふられてしまったという愛の女神の超絶黒歴史を表に出してくる残酷さ。
まぁ、シルさん存在自体を否定して、なかったことにしたり、せっかくプレゼントした髪飾りを目の前で粉々にされたりして、フレイヤ様を許せなかったというのもあるかもしれませんが、この一撃は効きすぎる・・・・・。
ベル君は女性に対して優しいのか厳しいのかわからなくなってきました。
どちらかというとヘルンさんの言う通り人畜無害を装った獣、無自覚の犯罪者なのかもしれない・・・(笑)
確かに、ヘルンさんはメンヘラだけど、ベルに対する罵倒の言葉は、思ったより的確にベルのことを表現していると思うんです。
『人畜無害を装った獣。無自覚の犯罪者!!遍く女の敵!!人類の汚物!!誠実さと鈍感をはき違えた化け物!!神の失敗があるとすればお前みたいな怪物を生み出したこと!自分より年上ばかり誘惑する原罪の害虫めッ、崇高なる女神まで誑し込んで、恥を知れ!!』
『何が一途。憧憬の奴隷め』
勢いに思わず笑ってしまうけど確かにそうかも・・・・。物語の主人公だから許されているけど、別の側面から見ると確かにそう見えなくもない・・・・。
一生懸命、純粋、まじめ、優しい、強い、思いやりがある。
上げればきりがないほどの『お姉さんキラー要素』
殺意さえもっていたヘルンさんでさえ恋に落ちるのであれば、もう無敵じゃないか。
そっちのレベルの方がどんどん上がってきているのは気のせいではないはず・・・・・。
気になるのは次巻の展開です。
戦いも気になるのですが、もっと気になるのはフレイヤ様は救われるのか。救うことができるのかという点です。
まず、フレイヤ様は、シルになっている時にベルに告白して、ふられてしまった時点で負けが確定しているんです。
おそらくフレイヤ様が本当に欲しかったものは、平凡な少女であるシルの状態で愛してくれる伴侶だから・・・・。無理やりベルを手に入れたとしても、本当に欲しいと思っているものは手に入らないことが心のどこかではわかっているはず。
でも、どうしてもなかったことにはできないから、負けどころ、落としどころを探ってもがいているいるというのが現状だと思うんです。
そのあたりの心情にフレイヤ様自身はっきりと気づいていないけど、周りにいるヘディンやミア母さんやオッタルは気づいている。
オッタルとミア母さんは気づきながらも、フレイヤ様の思う通りにしてあげたいと従っているけど、ヘディン師匠は、どうやったら最後の最後でフレイヤ様が少しでも幸せな状態になれるかを考えて別の方向性からアプローチを仕掛けているので、その結果がどうなるのか、どういう形で実を結ぶのかといった点がとても気になります。
一方で、やはり最後にフレイヤ様(シル)を救うのはベルなのですが、一度ふってしまった相手をどうやって救うのか。エゴとしか言いようがない自分勝手な思い、救いをどのように表現し、完結させるのか。
お姉さまキラーであるベル君の本領を発揮することはできるのか。
気になることがいっぱいです・・・・。
フレイヤ様も幸せにしてくれるといいんだけどなぁ・・・・。
そして伝説へ・・・・
今回の17巻で「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」シリーズはラノベ界の伝説的物語になったと考えます。
1人1人のキャラ、性格、生い立ち、思い出、出来事がここまできれいにまとまってつながっている物語をいままで読んだことがありません。
これまでは心を熱くするダンジョンの冒険や英雄になっていくベル君の成長を主に楽しんでいましたが、ここにきて乙女の恋心の機微を描くラブコメ要素も全開に・・・・。
しかも乙女心の描写の仕方が半端じゃなくいい!!!!狼狽するお姉さんキャラっていいよね!!!
ここまで素晴らしい物語を読んだことがない。出会えたことに本当に感謝しかないです。
望むことは完結させてほしいということと、何とかこのフレイヤ様の回までアニメ化してほしいということです。
シルとベルのいちゃいちゃデート回も見たいし、フレイヤファミリアとヘスティアファミリア連合軍の戦いのシーンも映像で見てみたい!!
お願いします神様!!!!かなえてください!!!!
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